活動テーマについて

私の活動テーマは、「三方よし(自分よし、相手よし、社会よし)になる協働のあり方を考え、その実現のための教育を定式化すること」です。
メインテーマは、今の日本に必要なチームワーク教育の開発です。

困った問題や大きな課題があるとき、チームをつくって対応しようとすることがあります。
そこには、チームをつくればなんとかなるだろうという漠然とした期待があります。

しかしチームは万能薬ではないのです。
むしろチームをつくることで、混乱、遅延、お粗末な意思決定が助長されることがあります。

問題解決・課題対応にあたり、チームをつくることは例外対応であって、原理・原則の対応ではないことをまず認識しておく必要があります。

チームをつくる前に、平時から「多様な意見がきちんと出て、一人では決してできないような洞察、発想、創造ができるようなチーム」を「つくれる人」を育成しておくことが望まれます。
ただ、そんな余裕はないという組織が多いであろうことは容易に想像できます。

しかし、それは経営者の意思決定にかかっています。一方、そのような人をつくるための教育方法に定番のものはあるのでしょうか。

残念ながら、そのようなチームワーク教育が、すでに世界標準として定式化されているわけではありません。
そもそもチーム学という学問領域もありません。
チーム教育に使われる基本知識は、いろいろな学問領域の先行研究を引用しているのが現状です。

したがって「多様な意見がきちんと出て、一人では決してできないような洞察、発想、創造ができるようなチーム」に適した人材を育成するための教育プログラムを開発し定式化することが必要でした。

そこで深層的多様性を生かした協調設計(collaborative design)が成員間の自律的判断により実現されるよう、あらかじめ成員に対しておこなう教育プログラムを、ユング心理学のタイプ論を理論的基盤として定式化することに取り組んできました。

この研究に取り組む3つの思い

1 生きやすい社会のために

チームワーク教育は、単に協働の効率化や成果の促進を求めるものではなく、社会に有機的連帯を広げるという社会ビジョンを根底にもつことが重要であり、そのようなチームワーク教育を社会に提案したい。

2 選別ではなく互恵のために

人口減少下におけるイノベーション創出の必要性を考えたとき、一人ひとりの「自分らしさ」を尊重し生かし合うことを当たり前にすることが重要であり、それをべき論ではなく現実的なメリットから説明する実践の構造を構築したい。

3 総合知の推進とイノベーションの創出のために

個々人の「自分らしさ」が、対立の原因になるのではなく、相補的な相互作用を促進する資源として利活用されるようにすることで、深層的多様性を生かしたイノベーションの創発を促進したい。
とくに、開発したチームワーク教育は、「総合知(多様な知が集うことで、新たな価値を創出する知の活力が生まれるようなこと)」の具体的な促進手段としての有用性が高いと考えるため、在野の立場から社会実装に取り組んでいきたい。

(注)参考文献