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アイザック・ニュートンは、1675年に同僚科学者のロバート・フックに宛てた手紙の中で、”If I have seen further, it is by standing on the shoulders of giants.”(もし私がより遠くを見ることができたとしたら、それは巨人たちの肩の上に立っていたからです)と述べています。この言葉は、ニュートンが、自身の発見は先人たちの業績に基づいているという事実を謙虚に認めたものであり、敷衍(ふえん)すれば、科学的進歩が個人の独創だけでなく、知の累積によって成り立つことを示しています。

ただし、この表現はニュートン以前から存在しており、最も古い記録のひとつはジョン・ソールズベリが1159年に著した『Metalogicon』に見られます。そこでは、「シャルトルのベルナールは『我々は巨人の肩に乗った小人のようなものだ』とよく言っていた」と紹介されています。この比喩は、中世の学者たちが古代ギリシアやローマの思想家の知を土台としていたことを象徴的に表しています。

ちなみに、1997年に導入された2ポンド硬貨のデザインでは、縁に “STANDING ON THE SHOULDERS OF GIANTS” という言葉が刻まれています。これは、1699年から1727年まで王立造幣局の局長を務めたニュートンの功績にちなんでおり、知の継承と進歩を象徴するものとして採用されたのです。

Standing on the Shoulders of Giants £2 Coin Inscription | Royal Mint